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【レポート】もしもし演劇部成果発表公演「A to A」開催しました!

「もしもし演劇部」

「もしもし演劇部」は弘前エクスチェンジ#05「ナラヒロ」のプログラムのひとつとして、2000年代に3度にわたり美術館になる前のれんが倉庫で開催された弘前市出身の現代美術作家・奈良美智の展覧会にまつわる個々人の体験の記憶などをリサーチしながら、オムニバス形式の演劇作品を創作します。

無事上演終了しました

創作した作品の発表公演を、2022年12月18日(日)に実施しました!
雪の降る悪路の中でしたが、関係者を合わせて約60名のお客様にご来場いただきました。

もしもし演劇部成果発表公演「A to A」
2022年12月18日(日)19:00開演
*開場18:30 (事前申込み優先、当日空きがあれば予約なしで観覧可能)
定員:50名
料金無料
会場:弘前れんが倉庫美術館 展示室
[出演]
もしもし演劇部部員(阿部万結子、石郷岡咲穂、佐藤琉美子、高杉一音、工藤大路、松枝和咲、守屋寿音、成田寧音、工藤ひすい、くま *順不同)
[美術チーフ]
松枝和咲(もしもし演劇部部員)
[構成・演出・指導]
太田歩、鎌田龍、藤島和弘、三浦ちひろ(五十音順)

企画担当よりごあいさつ

「もしもし演劇部」とは、当館が美術館になる前の煉瓦倉庫で2000年代に三度にわたり行われた弘前市出身の現代美術家・奈良美智さんの展覧会について、10〜20代の参加者がリサーチし、その過程で得たことをもとにオムニバス形式で演劇を創作するというプロジェクトです。2000年代当時、倉庫で展覧会が開催されていたことを知らない世代が、残された写真や資料を通して、あるいは関係者の言葉を聞いたりして過去と出会い、思ったことや感じたことを演劇で表現します。台本のないところから演劇部の活動は始まり、参加者自身がリサーチを行い、その過程で拾い集めたことを作品にしました。部員たちにとって、時を遡り、当時の様子を思い描くことは、時間を駆け巡るような体験だったかもしれません。部員一人一人が時を駆ける物語の主役であり、それぞれの感情がドラマをつくりました。
講師の太田歩さん、鎌田龍さん、藤島和弘さん、三浦ちひろさん、そしてこの活動の主役である部員のみなさんに、この場を借りて、素敵な創造の現場に立ち会わせてくれたことへの感謝の気持ちと心からの尊敬を伝えて挨拶とします。
 
弘前エクスチェンジ#05「ナラヒロ」もしもし演劇部 企画担当
ラーニング・キュレーター 宮本ふみ

パンフレットより一部抜粋

当日の様子を写真で紹介

オムニバスで3作品が上演されました。

1作品目「nA to wA」

3回目の奈良展「YOSHITOMO NARA + graf A to Z」では、れんが倉庫の2階も使われました。古い倉庫は階段も狭く、安全のため、一度に2階にあげる人数には制限が。それに対して平日でも1日平均およそ600人の来場者が。
階段の上と下にはボランティアスタッフが立ち、人数管理をする様は「鬼の階段さばき」と呼ばれました。
この日、階段を挟んですれ違う男女が1組…。

「nA to wA」創作メンバー:石郷岡咲穂、工藤ひすい|撮影:長谷川正之
「nA to wA」創作メンバー:石郷岡咲穂、工藤ひすい|撮影:長谷川正之


2作品目「タジ・タタン」

奈良展が始まる前のれんが倉庫。何の建物なんだろう?入ってみたいな…。
街の人は憧れと興味を持って倉庫を眺め、ときには「おばけ屋敷」と呼ぶこともありました。実はそこには3匹のおばけが住んでいたのです!奈良展の準備に集まる人々をみて、おばけたちは決意します。
「俺たちの住処を守ろう!」

「タジ・タタン」創作メンバー:阿部万由子、佐藤琉美子、成田寧音、松枝和咲、守屋寿音|撮影:長谷川正之
「タジ・タタン」創作メンバー:阿部万由子、佐藤琉美子、成田寧音、松枝和咲、守屋寿音|撮影:長谷川正之


3作品目「あと一歩分だけ連れてって」

「YOSHITOMO NARA + graf A to Z」開幕前夜。奈良さんは最後の作品を完成させるべく、ひとつの小屋にこもっていました。
「作品が完成したらGT400を流すから。それまで小屋に入ってこないで」と言い残して。
奈良小屋のそばでは、その瞬間を待ちながら20代のボランティアスタッフたちが語り合います。

「あと一歩分だけ連れてって」創作メンバー:工藤大路、くま、高杉一音|撮影:長谷川正之
「あと一歩分だけ連れてって」創作メンバー:工藤大路、くま、高杉一音|撮影:長谷川正之
「あと一歩分だけ連れてって」創作メンバー:工藤大路、くま、高杉一音|撮影:長谷川正之
撮影:長谷川正之

ご来場いただきたみなさま、アンケートにもご協力いただきありがとうございました。
お寄せいただいた感想の中から一部を紹介します。

「観劇は初めてでしたが、楽しませていただきました。閉塞感が漂う昨今ですが、明るい将来は作れるのかもしれないと希望を感じました。明日からがんばろうと思います。」

「どんな風になるのか全く予想していなかったので、ワクワクしました。この会場で当時を知らない若者たちが想像して創造していく過程もみずみずしてく素敵でした。」

「演劇を通して表現することの楽しさを演じている皆さんから感じることができて、これからも応援したくなりました」

「また集まりたい」と上演が終わってから部員から声が上がりました。
部員の皆さんが感じた「楽しい」「面白い」という感情は、見ているお客さんにも伝わったはず。

かつてのれんが倉庫の持ち主の吉井さんがかけた一本の電話、
「もしもし、奈良さんの展覧会はできませんか?」
この言葉が3度の奈良展は始まりをもたらしました。

「もしもし、〇〇しませんか?」
今度は皆さんが言う番です。


上演まで走り抜いた部員の皆さん、そして講師の皆さんありがとうございました!


▼およそ3ヶ月の活動のレポートはこちらから▼



(記録:宮本)
(撮影:長谷川正之(写真館ハセガワ))