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【レポート】弘前エクスチェンジ#05「ナラヒロ」小さな起こりリサーチプロジェクト 活動開始


「弘前エクスチェンジ」

本プロジェクトでは、弘前出身あるいは弘前ゆかりのアーティストや、地域の歴史や伝統文化に新たに息吹を吹き込むアーティストやクリエイターなどが、作品制作や調査研究のほか、地域コミュニティと関わるプロジェクトなどを行います。あわせて、トークやレクチャー、ワークショップといったさまざまな参加型プログラムを展開します。
「エクスチェンジ=交換」という名前に込められたように、本プロジェクトはローカル(地域)とグローバル(世界)、つくり手と地域の人々そして鑑賞者といった異なる視点が交差し、ふれあい、交換される場を生み出すことで、新たなアプローチにより地域の創造的魅力を再発見することを目指します。

弘前エクスチェンジは2020年の開館から毎回異なるテーマで実施しています
。5回目となる今回は2022年度展覧会[秋冬プログラム]「もしもし、奈良さんの展覧会はできませんか?」奈良美智展弘前 2002-2006 ドキュメント展と連動したいくつかのプロジェクトを進行しています。

#05「ナラヒロ」

「ナラヒロ」とは弘前れんが倉庫美術館になる前の煉瓦倉庫(吉井酒造煉瓦倉庫)で2000年代に3回にわたり開催された、弘前市出身の現代美術作家・奈良美智の展覧会のことで、ボランティアとして展覧会に関わった方々の一部で呼ばれていた通称です。今回の弘前エクスチェンジでは、このナラヒロについて思い出し、振り返り、そして考える活動を行います。 

小さな起こりリサーチプロジェクト

活動のうちのひとつに「小さな起こりリサーチプロジェクト」があります。このプロジェクトではれんが倉庫が美術館へと生まれ変わる大きなきっかけとなった現代美術作家・奈良美智による2000年代に3度開催された弘前での展覧会(通称:ナラヒロ)が、人や街にもたらした創造性や変化を探るリサーチプロジェクトです。展覧会にボランティアとして関わった方々や街の人たちへのインタビュー、あるいは資料のリサーチを通して、奈良美智展弘前がきっかけで生じた「小さな起こり」を探しにいきます。

[活動1回目]「これから始まる活動と自分との接点をつくろう」

2022年6月26日(日)
小さな起こりリサーチプロジェクトの活動初回を実施。これから活動を共にするメンバーと初めて顔を合わせました。メンバーの中には3度の展覧会すべてにボランティアスタッフとして関わった方もいれば、当時のことをほぼ知らない方も。初回の活動は、自分とこれから取り組む活動の接点をつくることテーマにミニレクチャーとワークショップを行いました。

活動前半では、当時のボランティアの一部で「ナラヒロ」と呼ばれている、弘前出身の現代美術作家・奈良美智さんが美術館になる前のれんが倉庫で2000年代に3度にわたり開催した展覧会についてのミニレクチャーを行いました。3度の展覧会の概要情報や当時の街での様子や、倉庫内の風景写真と共に経緯を簡単に紹介しました。
何がきっかけで、倉庫だった場所で展覧会を行ったのか。どうして実現できたのか。どのくらいの人たちが関わったのか…。当時ボランティアとして関わっていたメンバーからは、当時の写真を見て「懐かしい」という声もあがりました。

後半の活動ではワークシートを用いながら2人1組のペアになってインタビューをするワークショップを行いました。自分とは異なる体験を持ったメンバーと話すことで、奈良美智展弘前との関わり方や、そのきっかけが様々あることや自分と同じ体験をしていることに気づいたり、新たに知ることもあったようです。

ここで、振り返りの中でメンバーから挙がったコメントを少し抜粋して紹介します。

【ボランティア経験のあるメンバー】
(ボランティアの経験をしてみて、いまの自分にプラスになったと感じること)
実際に試さないと仕事に対して自分が出来るか出来ないかの判断が挑戦しないと、わからないということがわかりました。

【当時のことをほぼ知らないメンバー】
(ナラヒロに関するミニレクチャーを受けて)
過去参加された方々が「自分の思い出」として語っていることが羨ましく、素晴らしい美術展だったと思われます。
プロが開催する見た目の良さでなく、多少凸凹でも心を動かされる何かがあること。
プロのノウハウを最低限に抑えた手作りの美術展は、アートは高尚なものとして捉える風潮を、その街にいる人のためのアートに変えてくれるかもしれません。

今回のプロジェクトのメンバーの中には奈良美智展弘前(ナラヒロ)のことを全く知らない方もいれば、当時ボランティアとして関わったり、展示を見たりしたメンバーもいます。また、このリサーチプロジェクトを通じて奈良美智展弘前(ナラヒロ)で起こったこと・その後の影響などを探っていくこともまた、奈良美智展弘前(ナラヒロ)と間接的に関わっていく=接点をつくることと言えるのではないでしょうか。

(当時展覧会を見たというメンバーの方は大事に持っているグッズを見せてくれました)

7月は初回活動の振り返りをしながら次回活動に向けて準備を進めます。次回は早速メンバー以外の方にお話を伺うリサーチ活動を行います。どんなお話が聞けるのか楽しみです。

(記録:宮本)
(写真:佐々木、宮本)