見出し画像

【レポート】もしもし演劇部5回目活動|リサーチを振り返って「さあ、どうやって何を作ろう?」

「もしもし演劇部」

「もしもし演劇部」は弘前エクスチェンジ#05「ナラヒロ」のプログラムのひとつとして、2000年代に3度にわたり美術館になる前のれんが倉庫で開催された弘前市出身の現代美術作家・奈良美智の展覧会にまつわる個々人の体験の記憶などをリサーチしながら、オムニバス形式の演劇作品を創作します。完成した劇は、2022年度展覧会[秋冬プログラム]「もしもし、奈良さんの展覧会はできませんか?」会期中の12月18日に展示室で上演します。

全10回の活動のうち、この日の活動はその折り返しに。これまで取り組んできたリサーチ活動を振り返りながら、「じゃあ、どういう作品をつくる?」というところを話し合う企画会議を行いました。
12月に入ると怒涛の創作期間に入るため、その序章として、これまでの活動で部員たちがそれぞれに拾い集めてみて、印象に残っているエピソードや「こういうイメージで上演してみたい」などを話し合いました。

アイディアメモから振り返る

いつものようにスタジオBに集合し、今日の活動内容の確認を済ませると早速部室へ移動しました。
まずは11月11日に行った「お茶会」の様子を共有です。
11月11日のお茶会とは「もしもし演劇部」の活動本編に付随した番外編的な活動として行ったものです。本編活動時間内では紹介しきれなかった奈良美智展弘前にまつわるエピソードなどを、あり教頭から紹介してもらいました。また、当時のボランティアスタッフの高橋さんとオンラインで繋ぎ、当時のお話をお聞きするというものでした。

お茶会中、印象に残った言葉を付箋に書き留めたため、付箋の言葉をたどりながら、どういう内容のお茶会が行われたのかを振り返り・紹介しました。

トピックごとに整理された付箋たち
吉井千代子さんの話、倉庫を見守っていた芳さん、看視中のエピソード、夜の倉庫の話など…記録には残っていない細かな話が出てきました。

その後は10分程度部室をうろうろして、これまで書き留めてきたアイディアをざっと振り返ります。

いざ、企画会議

その後スタジオBに再び移動し、企画会議へ!
まずは部員それぞれが、どんな役回りで、どんなことをしてみたいのかを聞いてみました。

役者、音響・照明、舞台美術、制作…

今回は決められた台本を振り当てて読んでもらうのではなく、自分たちで作り上げていく方法で進められています。講師の太田さんの「演劇はチームで動くから」という言葉が印象的でした。

部員の希望を聞いたところで、アイディアメモを振り返ってみて、印象に残っているエピソードや、上演のイメージなど、ざっくばらんにアイディアを交わしました。
この段階では付箋の分類はせず、とにかくアイディアを発表します。

「ロック喫茶」
「喧嘩」
「微ホラー」
「ボラ小屋」
「酒」

色々と出たアイディアの中には、舞台構成に関するもの、上演作品の中身に関するもの、舞台演出に関するものなどが混ざっています。

演劇ってどうやってつくる?

ここで演出・劇作を担当する講師の鎌田さんと藤島さんの創作メモが登場です。

通常公開しない、劇作のノートを特別に見せていただきました。
「序」…設定を出す、「破」…設定を展開させる、「急」…オチをつける
の3部構成で作られた作品のメモを見せてもらいました。
2022年、藤島和弘さん作の「地底のアナキズム」の制作メモはカレンダーの裏を使っていました。登場人物ごとに付箋で整理されたアイディアメモです。

鎌田さん・藤島さんがこれまで演劇をどういう方法で作っていたのか、どういう思考のステップで情報を整理し、物語を構築していくのかをレクチャーしてもらいました。
部員もスタッフも、普段は見られない創作の裏側を知ることができて、興味津々です。

「こんなふうに情報を組み立てているのか」と、劇創作についてちょっと触れたところで、部員たちから出たアイディアも整理してみます。
これまでの活動でも出てきた物語をつくる要素である次の3つに分類します。
「だれ(人物)」
「どこ(場所・状況)」
「なに(出来事)」
そしてその中でも「大きいネタ」「小さいネタ」に振り分けてみました。

模造紙の上側には大きなネタ、下にいくほど小ネタ、といった具合に整理しています。

そして、構成に関するアイディアや、舞台演出に関するものはもう一方の模造紙に貼り出していきました。
みんなで話し合い、整理することで「もしもし演劇部」の劇作メモが姿を表してきました。


公演タイトルは「A to A」に決定!

この日の活動の最後には、公演タイトルを決めました。

これまでの活動から感じた言葉やひらめきをタイトルに落とし込みます。

ここでThe Whoの「Anyway, Anyhow, Anywhere」というタイトルが浮上しました。
(部員たちにとってリサーチという行為自体が時をめぐるような体験なような感じがしたのかも、と思いました。好きな物や人に囲まれた空間や奈良展の賑わいを感じたのでしょうか。)

「Anyway, Anyhow, Anywhere」の頭文字が「A」であることや、倉庫から始まった奈良美智展弘前の物語は、美術館になった倉庫でこれからも続いていく、というようなコンセプトを込めて「A to A」というタイトルに!

時空を超えるロック喫茶を舞台にした物語になるようです!

さて、次回はより具体的に上演作品の中身をつくっていく作業に入ります。上演本番まであと半月ほどです。

[公演タイトル]
もしもし演劇部発表会 「A to A」
[日時] 
2022年12月18日(日)19:00開演
[受付・会場] 
18:30 (事前申込み優先、当日空きがあれば予約なしで観覧可能)
[定員] 
50名
[料金] 
無料
[会場] 
弘前れんが倉庫美術館 展示室
[出演]
もしもし演劇部部員(阿部万結子、石郷岡咲穂、佐藤琉美子、高杉一音、工藤大路、松枝和咲、守屋寿音、成田寧音、工藤ひすい、くま *順不同)
[構成・演出・指導]
太田歩、鎌田龍、藤島和弘、三浦ちひろ(五十音順)
[申込み] 
お電話または申込みフォームから(1申し込みで4名まで)

▼上演情報および申し込みフォームは下記リンクから



▼前回の活動レポートはこちらから


(記録:宮本)
(撮影:佐々木、宮本)