【レポート】もしもし演劇部2回目活動|部室で工作!「ここはものをつくるところだ」
「もしもし演劇部」
「もしもし演劇部」は弘前エクスチェンジ#05「ナラヒロ」のプログラムのひとつとして、2000年代に3度にわたり美術館になる前のれんが倉庫で開催された弘前市出身の現代美術作家・奈良美智の展覧会にまつわる個々人の体験の記憶などをリサーチしながら、オムニバス形式の演劇作品を創作します。完成した劇は、2022年度展覧会[秋冬プログラム]「もしもし、奈良さんの展覧会はできませんか?」会期中に展示室でドラマリーディング(朗読劇)形式で上演します。
2回目の活動では「上演の舞台にセットとして置くならこんなイメージ」というものをひとつ決めて、段ボールや布など身近な素材を用いて1日かけてみんなで工作をしました。また今回は通りがかった一般の観覧者も簡単な工作ができるようスペースを部室の一角に設け、午前午後ともに1時間程度解放しました。
なにつくろう?
今回の活動では講師チームに加えて、当館のボランティアであるれんが倉庫部部員3名もサポートとして参加しました。この3名には「奈良展ボランティア経験者である」という共通点がありまして…。今回の活動の裏テーマとして、ボランティア経験者と部員が交流するという目的もありました。
午前の部からサポートに入っていただいた〈かわさん〉は2002年の時に看視ボランティアとして参加しました。とても工作が得意で、この日も段ボールとアルミテープを使った自作の工作物を持ってきてくれました!
部員たちが集まる1時間前から会場で準備をしていると「今日実はこんなものを持ってきていまして…街をイメージして作ってみました」とおもむろに作品を見せてくれました。
部員たちも集まる時間になりスタジオBに集合です。まずはこの日から初参加のメンバーと挨拶。そして改めて「もしもし演劇部」の活動について説明をしたのち、早速今日作るもののイメージを膨らませていくために展示室で「もしもし展」の鑑賞タイムに入ります。30〜40分ぐらい時間をかけて展示室を見てまわりました。
それじゃあ、今日つくりたいものは?
展覧会を鑑賞したら部室に移動し、「今日作るもの」のアイディア出しに取り掛かります。アイディアスケッチを描く前に、かわさんが作った工作物を部員に紹介しました。「今回の展示を見て『街』を感じて作ってみました」というかわさん。さあ、部員のみんなはどんなアイディアをスケッチするのでしょう?
ひとり一枚ずつA4の紙が手渡され「1人ひとつ、今日つくりたいもの」を図で描き出していきます。
「一見すると本棚だけど扉のようになっていて、開けると写真やレコードなど好きなものが散りばめられている」
「好きなものに囲まれた部屋をイメージして、机の下には窓からのびる線路が続いて電車が走り、ギターがあったり、作品があったり…」
「奈良さんのドローイングのなかで、吸い込まれそうな目の女の子が印象に残っていて。観音開きのドアを開けるとその目があって、扉の内側にはいろんな写真とか言葉とか絵が貼られている」
・・・・・
部員それぞれのアイディアが共有されたところで、講師の太田さんの「じゃあ今日つくつものをひとつ決めよう。気になるものを指差して」の合図で、みんながつくりたいと思ったものを決めていきます。
指が止まったスケッチをよーく観察してみると、ある共通する要素が見えてきました。
「ドア・開く構造」
「コラージュ・つぎはぎ・好きなものを散りばめる」
大きな要素としてこの2つが盛り込まれた造作物に取り掛かることにしました。アイディアスケッチを見ながら、部室に置いてある素材を見渡して「あれでこれが作れそう」「何ができるかわからないけど使ってみたい」…とあれこれ想像したところで、午前の活動はここまで。
ここはつくるところ
昼休憩をはさみ、午後から実際につくりはじめました!
大きめの段ボールを扉に見立てて、そこに貼っていきたいものを各自作っていくことに。
粘土で犬のレリーフのようなものをつくるひと
布と紙皿や段ボールを駆使して帽子や靴をつくるひと
ねぷたの技法を用いて犬の頭部をつくるひと
看板をつくるひと
気付けばみんなそれぞれ作りたいものに向き合う時間が部室に満ちていました。
最後は1行の詩に
時間もあっという間に過ぎて、部活も終わりの時間に近づいてきました。最後に1日のまとめとして「今日の感想を1行書き出してみる」活動をしました。
展示を見て思った疑問、感じたこと、工作の感想でもなんでもよし。
10分間誰にも相談せずに自分が思ったことをそれぞれ1行書き出しました。
1行のコメントは、その場で講師によって朗読されていきました。
「たった1行でも詩になる」という体験をすることで、これから物語を作っていく予感を感じさせます。
朗読の後は工作ワークショップのサポートとして参加していたれんが倉庫部員の3名から1行詩を聞いてみての体験を聞きつつ、ボランティアに参加したきっかけや印象に残っていることなどを聞きました。
2005年・2006年の際に奈良展ボランティアに参加したれんが倉庫部員のコメントを紹介します。
「当時のボランティアの会場でも、今日みたいな時間が流れていた。参加したそれぞれの人が自由勝手に好きなことやできることをしていた感じで。でもひとつのものに向かってつくっていく空気感が似ている。」
・・・・・
この日の活動はここで一旦終了しましたが、まだまだつくりたいひとは残って作業をしました。現在、部室では部員が制作中の造作物を置いているので興味のある方は覗いてみてくださいね。
さて、次回活動は奈良展開催当時のことを人や資料を通じてさらにリサーチしていく予定です。3回目レポートもお楽しみに。
前回までのレポートはこちらから▼
おまけのミニレポート
部室の一角に設けた飛び入り参加OKの工作ワークショップの様子を少しお届け。こちらのスペースにも展覧会をみた来館者も数名参加してくれました!
部室の入り口にちょうど良い感じにスポットライトが当たっているので、りんご箱を置いたら簡易展示スペースが出来上がりました。参加者の皆さんはここに自分で作った作品を置いて思い思いに撮影していきました。
ご参加いただいたみなさんありがとうございました。
(記録:宮本)
(写真:佐々木、宮本、楼)