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展覧会アーカイブ&レビュー

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当館にて開催してきた展覧会のアーカイブや、青森県内の他美術館・学芸員に執筆いただいたレビューを紹介。
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#現代美術

【展覧会レビュー 】 りんご前線 — Hirosaki Encounters|幽霊はりんごしか食べない / 奥脇嵩大

つまるところ過去・現在・未来は等価である。「りんご前線」はそこで働く。佐野ぬい「明日のテーマ」におけるロッキングチェアは過去と未来を行き来する揺りかご。画業70年を経た作品の青は、輝きと透明さを増す一方で透明ゆえに絵画表層に留まり、画面に不在の奥行き-幽霊をまとわせる。今ここにある進捗と停滞の不思議さを見よ。そのとき本展示は時空間を素材に描かれた作家のタブローそのものとなる。 小林エリカ「旅の終わりは恋するものの巡り逢い」は、誤解を恐れずいえば幽霊をまなざす作品。本作素

【展覧会レビュー 】 りんご宇宙 — Apple Cycle / Cosmic Seed|嵐の後に残るもの / 外山有茉

「りんごの主題は、どこかで向き合わなければならないものであった」と本展キュレーター三木あき子氏が語るように、展示場所が持つローカルな特色をいかに普遍的なテーマや問題提起へとつなげるかは、アーティストやキュレーターにとって今や定番の課題になった。「りんご宇宙」展も、弘前という土地、元シードル工場という美術館の特性に向き合いつつ、それを外に開いていくことを試みた展覧会だ。 やや乱暴に分類すると、本展出品作家のうち、もともと以前から素材やモチーフとしてりんごを扱っていたことで招聘

【展覧会レビュー 】小沢剛展 オールリターン | さよならだけが人生ならばめぐりあう日は何だろう / 工藤健志

 2013年に第1作が発表された小沢剛の「帰って来た」シリーズ。僕はこれまで2015年に資生堂ギャラリーで《帰って来たペインターF》を、2016年のさいたまトリエンナーレで《帰って来たJ.L.》を、2017年の横浜トリエンナーレで《帰って来たK.T.O》を見ている。ペインターFこと藤田嗣治、J.L.ことジョン・レノン、K.T.O.こと岡倉天心の生涯から、アジアとの関係性を小沢独自の土着的視点でとらえ直し、文化も表現領域も異なるアジア各地の様々なクリエイターとの協働によってその

【展覧会レビュー 】Thank You Memory —醸造から創造へ— | クロノトポスの醸造術 / 慶野結香

現代美術が「サイト・スペシフィック」と呼ばれる、場所の固有性を重視するようになって久しい。この場所でしか見られない、ここで見る意義のある作品や展覧会。青森市にあるアートセンターに勤めていても、この地に根付く文化に接触しようとすると小一時間車を走らせ、弘前あたりまで来ることになる。そんな文化の息づく街、弘前に新しい美術館が誕生した。近代産業遺産として約100年の歴史を持ち、国内ではじめて大々的にシードルが造られた煉瓦倉庫が、田根剛によって改修・整備され、美術館の建物自体がグロー